Google最大の発明「Googleマップ」
Googleマップがリリースされて今年で15年を迎えます。
Googleとは誰もが知るインターネットの覇者であり、世界最大のウェブ検索の会社と言われますが、私はGoogle最大の発明は「Google Maps」であると考えています。
インターネット、携帯電話などの技術革新により人々の暮らしは劇的に便利さを手に入れましたが、Googleマップはそれらに匹敵する偉大な発明だと断言します。
今回はその理由について紐解いていきたいと思います。
紙の地図時代
「Googleマップ前と後」を考えると、前とはすなわち「紙の地図」の時代と言えます。この時代は極めて長く、測量技術の向上による地形の正確性が増した以外の大きな変化はありませんでした。
日本での本格的な地図は1800年頃、伊能忠敬らによって作られた日本地図「大日本沿海輿地全図」から始まり、近代ではゼンリン地図が最も生活に密着した紙の地図として人々の「行く先」を照らしていました。
当時は旅行、ドライブ、待ち合わせなどの個人用途から、運送、営業などのビジネス用途関わらず、あらゆるシーンで紙の地図を片手に冒険者よろしくそれが示す行き先と、周りの視認情報とを見比べてキョロキョロしたものであります。
今思えばたった15年前、古代地図や海賊のお宝地図となんら変わらない、まさに原始的としか言いようのない手段しかなかった「場所を探す」「道順を知る」という行為。
時間を知るには時計、場所を知るには地図、という疑う余地のない、時間と場所という「最も基準となる情報」を得るための道具。
それが2005年、インターネットにより、ついに地図に劇的な技術革命が起きます。それも一気に地図1.0から地図5.0にワープしたくらいの爆発的進化です。
Googleマップによる地図の技術革新は、アナログ時計がデジタルになる程度のものではありませんでした。
GPSによる現在位置情報(緯度経度情報)と、インターネットによる地域情報、この2点が地図の進化にすさまじい効果をもたらしたのです。
並列分散型のウェブサイトの弊害
1989年にイギリスの物理学者Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズ=リー)によって考案された現在のインターネット(WEBサイト)システム「WWW」(ワールドワイドウェブ)は、今年で31年になります。
2019年でのインターネット全体のWEBサイトの数は「16億」存在すると言われています。
広大な壁面に無数の店舗や会社のチラシを貼り付けたようなWWWを、巡回し整理してアクセスできるようにしたのが「Google検索」であることは周知のことですが、その偉大なGoogle検索をもってしても、インターネット世界に浮遊するWEBサイトに書かれた情報を整理できても、それらが本当に「実在するものなのか?」までは当然分からないのです。
WEBサイトは「誰でも、いつでも、何でも」情報をアップロードできる反面、その信ぴょう性や正確性については、残念ながらクリーンな世界ではありません。
ネットは架空情報のるつぼ
例えば銀行のものとそっくりのWEBサイトを複製し、個人情報を抜きとる行為をしようと思えば、多少の知識があれば容易に実現できます。
実在しない会社のWEBサイトをそれらしく作り、人を欺くことも簡単にできるという「負の側面」を持っているのがWWWとも言えるでしょう。
このような架空情報のるつぼと言えるのも、インターネットのもうひとつの事実です。
WWWの構成要素
なぜこうも簡単に架空情報をでっち上げることができるのか、についてはインターネット(WEBサイト)の構成要素を見る必要があります。
WEBサイトは以下の3要素を満たせば、誰でもアクセスできるようになります。
- テキスト
- メディア(画像・動画)
- URL(サーバー・ドメイン)
要するにコンテンツと場所(サーバー)さえあれば、誰もがWEBサイトをインターネットに公開できるということです。実在か架空か、善意か悪意か、に関わらず。
このオープンさが、インターネット普及の大きな要因でもあり、魅力でもありますが、その反面架空情報や悪意も野放しになっていることも忘れてはなりません。
もちろんGoogleも検索エンジンとして、この弊害に対して指をくわえて見ているだけではなく、日々精度を高め悪質なサイトを検索結果から排除する方策を進化させていますが、それはあくまで「検索結果からの除外」であり、WEBサイトそのものはインターネットサーバー上に存在し、例えばWEB検索以外の手段であるフィッシングメールなどであれば、難なくアクセスさせることができてしまうのです。
緯度経度情報を基にしたもうひとつのインターネット
対してGoogleマップがもうひとつのインターネットと言われるのはなぜでしょうか。
それは何の軸(基準)もないWWWに対して、Googleマップが「緯度経度情報」を軸にしているという点が、WWWとの大きな違いです。
Googleマップの構成要素
- 緯度経度情報(座標)
- スポット情報(名称・住所・電話など)
- メディア(画像・動画)
- コンテンツ(口コミ・投稿)
緯度経度情報に紐付いているため、Googleマップの情報はインターネット(WWW)と比較して、信頼性の面で大きな優位性があります。
これは、GoogleマップがGoogleの基準(ポリシー)で運営された、Googleによるプラットフォームであることで情報の信頼性を担保しやすい構造になっているからです。
広大な壁面に貼り付けられた根拠不明な勝手情報のインターネットに対して、Googleマップは実際の住所という根拠に紐付いたスポット情報で構築されたプラットフォームなのです。
信頼性を維持するエコシステム
さらにGoogleマップには、店舗や会社および施設であれば、電話やハガキによる所有者認証を行うスポットの「オーナー登録」機能や、ユーザーからの「通報システム」などで、地図内のコンテンツ信頼性を常に維持できるシステムを構築しています。
このエコシステムが実現できるのは、すべての情報が緯度経度に紐付いている「地図」であることが大きいでしょう。
いわば管理者不在の不法地帯であるインターネット(WWW)に対して、GoogleマップはGoogleの定めたポリシーにより管理された地図の形をした「もうひとつのインターネット」なのです。
「 地図」としてのGoogleマップ
ここまで、構造としてインターネット(WWW)とどう違うのかを比較してきましたが、ここでは単純に「地図としてどこが進化したのか」について書きます。
現在地が分かる
紙の地図時代から進化した最も大きな点はGPSの測位情報が挙げられます。
これにより「今どこにいるか」が一目瞭然となったのです。
例えば施設の立て看板地図には「現在地」マークがありますが、当然紙の地図にはそれがありません。地図を広げてまずやるのは「今自分はどこにいるのか?」の特定ですが、GoogleマップはそれをGPS衛星からの位置情報を取得することで、自動化したのです。
これには、GPS精度の向上やGPS機能を持つ端末(スマートフォン)によるものも大きいですが、現在地の自動取得は地図の歴史上最も偉大な功績であることは言うまでもありません。
道順が分かる
現在地が分かるようになり、目的地までの道順を計算し、ナビゲートできるのもGoogleマップの大きな機能です。
Googleマップには、地形情報はもちろん、道路情報も収録されているため、目的地への道順を自動で示してくれるのです。今では至極当然の機能ですが、こうして改めて紙の地図時代を思い出せば、なんと便利な機能なのか驚くばかりです。
リアルタイム情報
紙の地図時代は、当然印刷された時点での情報よりも新しい情報はわかりません。
例えば新しく造られた道路や施設、反対に無くなった施設や休業または閉店した店舗、工事中の道や天災による通行止め、事故、渋滞情報などのリアルタイムの情報をGoogleマップは常に更新し続けてくれます。
膨大な施設情報
紙の地図で分かる施設情報といえば、おおよその建物の形と名称のみでした。テナントビル内やショッピングモール内の店舗の場合は、名前すらも表示されません。
しかしGoogleマップでは、施設側が表示する名前、住所、電話番号、営業時間などの基本情報に加え、無数に投稿されるユーザーから写真や口コミ情報、さらにはストリートビューでの360°画像、動画など、施設に関するあらゆる情報にアクセスできるようになりました。
そしてこれらの情報は、施設側の更新やユーザーの投稿により永続的に更新され続けるのです。
まとめ Googleマップに対応するべし
Googleマップが劇的に地図を進化させ、今までのインターネットとは一線を画す「もうひとつのインターネット」であることをお伝えしました。
そしてGoogleマップは、地図としてはもちろん、「正確で信頼できる施設情報」を探すためのツールとして今後ますます存在感を増していきます。
特に施設を運営している人、お店や会社を経営している人は、ホームページ以上にGoogleマップ上での掲載情報を気にする必要があります。
Googleマイビジネスなどで、施設の「所有権確認」(オーナー登録)をして、地図上の自分のスポットを所有し支配下に収めておくことがまずもってやらねばならないことです。
これにより、情報の改ざんを防止することはもちろん、Googleマップ上に公式情報(お知らせの投稿など)ができたり、営業時間を追加して信頼性を高めると同時に、Googleの地図検索エンジンにしっかりと運営している事実を認識させることができます。
まだオーナー登録が終わっていない場合、今日にでもすぐにやりましょう。これは絶対的に大事なことです。